日本人であるならば、梅雨が明け夏本番を迎えるこの時期に、「土用丑の日(どよううしのひ)」という言葉を一度は聞いたことはあるだろう。
そして、土用丑の日にはうなぎを食べた経験がある方も多い筈だ。
昨年の「土用丑の日」は1回しかなかったが、今年は7月24日、そして8月5日と2回の土用丑の日があり、うなぎ関連銘柄の値動きを考察していくのも面白い。
今回は土用丑の日にちなんで、注目が高まる「うなぎ養殖関連銘柄」について語りたいと思う。
目次
注目のうなぎ養殖関連銘柄
絶滅危惧指定やワシントン条約、うなぎ養殖技術の開発など、数多くの材料要素をもつうなぎ養殖関連銘柄に今注目が高まっている。
うなぎ養殖関連銘柄について理解している方も、はじめてうなぎ養殖関連銘柄を知る方にも是非チェックしてもらいたい記事だ。
絶滅危惧種指定で高まる価値
うなぎ養殖関連銘柄が注目されている理由のひとつとして、国内で流通され食用されていたニホンウナギが、国際自然保護連合(IUCN)にも絶滅危惧種として指定されたことが大きい。
絶滅菊種に指定されたことでウナギの価値が高まりつつあり、うなぎ養殖関連銘柄と呼ばれるうなぎ養殖に携わる企業は、ニホンウナギの確保に奔走している。
ニホンウナギが絶滅危惧種に指定されたのは、2014年6月であり、テレビニュースや新聞でも「うなぎが絶滅の可能性」「うなぎの価格高騰」などと取り上げられ、機関投資家やプロの間でも、「うなぎ養殖関連銘柄に注目」と話題にもあがっていた。
ワシントン条約で高騰するうなぎ関連銘柄
国際自然保護連合(IUCN)によって、うなぎが絶滅危惧種に指定されてはいるが、だからといって現状ではまだ、うなぎの水揚げ量や漁獲が法的に規制されるようになったわけではない。
しかし、うなぎがワシントン条約の対象となり、うなぎの取引規制がかかることになれば、うなぎの価値はさらに高まり、うなぎの生産に携わっている「うなぎ関連銘柄」の株価も高騰することが容易に想定できる。
うなぎ関連銘柄と取引規制
今後、うなぎの漁獲量や消費量、商業取引に規制がかかることになれば、国民への食用うなぎの供給が不足することはもちろん、うなぎ生産業者・うなぎ販売業者・うなぎ料理店・うなぎ関連食品製造業者など、うなぎ経済の真っ只中に位置する「うなぎ関連銘柄」に大きな経済的影響を与えることになるだろう。
うなぎ養殖関連銘柄リスト
うなぎ養殖を行う企業、うなぎ養殖の技術を研究する企業、養殖うなぎの餌を手がける企業、養殖されたうなぎを販売する企業など、注目のうなぎ養殖関連銘柄をピックアップしてみた。
本命のうなぎ養殖関連銘柄
日本水産【1332】
日本水産【1332】は、うなぎの養殖をはじめとした様々なうなぎ関連事業を展開している企業であり、うなぎ養殖関連銘柄としてもっとも認知度の高い銘柄でもある。
うなぎの取引規制がかかった場合、うなぎ養殖の需要が高まることを想定すると、うなぎ養殖で高い実績をもつ日本水産【1332】は注目のうなぎ養殖関連銘柄として市場から関心を集めるだろう。
IHI【7013】
IHI【7013】も、本命のうなぎ養殖関連銘柄として重要な銘柄のひとつだ。
その理由として、うなぎ養殖作業における、人工的な産卵、人工的にふ化させたうなぎの稚魚を育成し、成魚になった段階で再び産卵をさせ、そこから生まれた稚魚をまた育てていくといった完全なうなぎ養殖を実現するための技術開発に関っており、稚魚の大量生産システムの実証実験も行っているうなぎ養殖の大本命銘柄だ。
近い将来、IHIによるうなぎの完全養殖技術が民間のうなぎ養殖業者に取り入れられていくことを想定すると、IHIの株価の高騰の可能性にもうなづくことができる。
重要!うなぎ養殖関連銘柄
シスメックス【6898】
シスメックス【6898】は、ホルモンの製造を手がける企業であり、一見したらうなぎ養殖とは関係のない銘柄に見えてしまうかもしれないが、うなぎ養殖作業の過程において、うなぎに産卵を促すために行われるホルモン注射に使用されるホルモンを作っている。
今後、数多くのうなぎ養殖業者がうなぎへのホルモン注射を必須作業として取り入れた場合、シスメックス社のホルモン製造事業にとって大きなプラス収益も望める。
こういった観点からも、シスメックス【6898】をうなぎ養殖関連銘柄としてしっかりとチェックしておくべきだろう。
ヨンキュウ【9955】
ヨンキュウ【9955】は、うなぎ養殖事業のために、鹿児島県に大きな土地を購入し、大規模なうなぎ養殖の展開を推進しているうなぎ養殖関連銘柄だ。
今年4月には、これらのうなぎ養殖事業のための土地取得完了の発表により一時株価が急騰した経緯もあるため、今後もうなぎ養殖関連のニュースに敏感に反応を示す可能性も強い。
食品関連のうなぎ養殖関連銘柄
カッパクリエイトホールディングス【7421】
カッパ・クリエイトホールディングスは、かっぱ寿司で有名な企業だ。
そのかっぱ寿司において、九州地方や四国地方の一部店舗をのぞいて、うなぎを使用したうなぎ寿司の販売を停止している。
理由としては、うなぎ仕入れ価格の上昇が大きいという。
今後さらにうなぎの価値が高まればうなぎ販売は完全に停止となる可能性もあるが、うなぎ養殖量が増加し、養殖うなぎの流通量が増えれば、かっぱ寿司のような企業が養殖うなぎを大量に仕入れて販売していくことも考えられるため、うなぎ養殖と関連性を強める可能性があるうなぎ養殖関連銘柄として覚えておきたい。
ゼンショーホールディングス【7550】
牛丼チェーン店のすき家を展開するゼンショーホールディングス【7550】は、すき家の店舗で販売されているうな丼に中国産のヨーロッパウナギを使用しているが、そのヨーロッパウナギの仕入れ価格も上昇してしまう可能性がある。
そうなった場合、国産うなぎ養殖を行う企業によるうなぎ養殖が大きく展開できれば、うなぎの仕入れ価格を抑えることにも繋がり、国産養殖うなぎの需要が高まる可能性は充分にあるだろう。
うなぎ関連商品の販売を行っているうなぎ養殖関連銘柄としてゼンショーホールディングスも把握しておきたい。
土用丑の日とうなぎ養殖関連銘柄
冒頭でも書いたように、今年は7月24日以外にも、8月5日にもう一度、土用丑の日がある。
外に出て街を歩けばわかるように、土曜丑の日になると、いつもは空いているうなぎ屋に行列ができていたり、予約がいっぱいで混雑している。
また、スーパーのチラシや食品売り場でも、「土曜丑の日はうなぎを食べよう!」といった広告でうなぎの蒲焼きなどの販売も目立つ。
テレビをみていても、芸能人やタレントが番組内で、「土曜丑の日だからウナギを食べた」という話を出したり、番組のグルメコーナーや旬な話題として土曜丑の日とウナギの話題が取り上げられるだろう。
今年は、これらにあわせて、当記事内で語ったうなぎ養殖やうなぎが絶滅危惧種に指定されているといった内容も、各種メディアで取り上げられていくことが想定でき、うなぎの養殖への注目が社会的にも高まるだろう。
もちろん、株式投資市場においても、土用丑の日のうなぎ関連銘柄といった話題も盛んに取り上げられることで、市場の注目もうなぎ養殖関連銘柄に向けられていくだろう。
8月5日の土用丑の日に備えて、うなぎ養殖関連銘柄に関する情報を先回りで把握しておきたいところだ。